SSブログ
矛盾について(その60) ブログトップ

9月26日(日) [矛盾について(その60)]

 必要とするものが十二分にあれば、競い合うことはありません。「お先にどうぞ」と譲ることもできます。でも厄介なことに、必要なものが十二分にゆきわたりますと、ぼくらの必要とするもののレベルが上がっていくのです。生きるために必要なものと言っても、これだけと決まっているわけではありません。よく言われますように、欲望はつくられるのです。こうして必要なものを手に入れようとする競い合いは際限なく続くことになります。ただ、この欲望の罠にはまることなく、少欲で足るを知ることができれば、あくなき競い合いから抜け出られるかもしれません。これが老子の言う無為自然の生き方に他なりませんが、ここに煩悩から抜け出した生活があるのでしょうか。
 この「足るを知る(知足)」生き方は、どこかで無理をしているのではないかと感じます。もっと言えば、どこかでごまかしがあるのではないかという感覚。いつでしたか、小学校の運動会で徒競走をやめようという議論が起こったことがありますが、それを思い出すのです。足が速いか遅いかで序列をつけるのは子どもの心を傷つけるから、やめた方がいいという議論です。確かに足の速い子は気持ちいいだろうが、遅い子はいつもビリで運動会なんてなくなればいいと思ってしまう。だから、最初からやらない方がいいと。でも、そんなことを言えば、成績で序列をつけるのも同じことです。いっそすべての序列をなくせば、それはそれで首尾一貫していますが、そこまでやっている学校はあるでしょうか。
人気ブログランキングへ

矛盾について(その60) ブログトップ