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12月9日(木) [矛盾について(その133)]

 「みんな悪人」はナンセンスではないかを検討しているところです。
 こう考えることはできるでしょう、「みんな悪人」で善人は一人もいないが、ただ善人のアイデア(観念)だけはあると。悪人とは煩悩(「オレが、オレが」の我執)を抱えている人のことでした。としますと善人とは煩悩のない人で、そんな人はどこにもいませんが、ただ「煩悩のない人」のアイデアはあり、そのアイデアと比較して「みんな悪人」だという認識は可能になります。これはこれで納得できる考え方ですが、ここにも二世界説と同様の決定的な難点があります。ぼくらはどのようにしてこのアイデアを手に入れることができるかという問題です。
 漆黒の闇に閉ざされている人がどのようにして光のアイデアを手に入れることができるでしょうか。
 ここが闇であることは光を知ってはじめて分かることです。生まれてこの方ずっと闇に閉ざされてきた人は光を知りませんから、ここが闇であることも知りません。光を知ってはじめて闇を知るのです。しかしどのようにして。もう一つ例を上げましょうか。年がら年中気温が30度の常夏の国に住んでいる人は寒さというものを知りませんから、そこが暑いところだということも知りません。寒い国に行ってはじめて寒さを知り、そうしてこの国の暑さも知ることができるのですが、彼が暑い国から出られないとしますと、どのようにして寒さを知ることができるでしょう。
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