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パクダ・カッチャーヤナと二ガンタ・ナ―タプッタ [「信巻を読む(2)」その96]

(14)パクダ・カッチャーヤナとニガンタ・ナータプッタ

五人目と六人目の大臣です。

また大臣あり、名づけて吉徳といふ。乃至 〈地獄といふは、なんの義ありとかせん。臣まさにこれを説くべし。地は地(ち)に名づく、獄は破に名づく。地獄を破せん、罪報あることなけん。これを地獄と名づく。また地は人に名づく、獄は天に名づく。その父を害するをもつてのゆゑに人天に到らん。この義をもつてのゆゑに、婆蘇仙人(ばそせんにん)唱へていはく、《羊を殺して人天の楽を得》と。これを地獄と名づく。また地は命(みょう)に名づく、獄は長に名づく。殺生をもつてのゆゑに寿命の長きを得。ゆゑに地獄と名づく。大王このゆゑにまさに知るべし、実に地獄なけん。大王、麦をうゑて麦を得、稲をうゑて稲を得るがごとし。地獄を殺しては、還りて地獄を得ん。人を殺害しては、還りて人を得べし。大王いままさに臣の所説を聴くに、実に殺害なかるべし。もし有我ならば実にまた害なし。もし無我ならばまた害するところなけん。なにをもつてのゆゑに。もし有我ならばつねに変易なし、常住をもつてのゆゑに殺害すべからず。不破不壊、不繋不縛、不瞋不喜はなほ虚空のごとし。いかんぞまさに殺害の罪あるべき。もし無我ならば諸法無常なり。無常をもつてのゆゑに念々に壊滅(えめつ)す。念々に滅するがゆゑに殺者・死者みな念々に滅す。もし念々に滅せば、たれかまさに罪あるべきや。大王、火、木を焼くに、火すなはち罪なきがごとし。斧、樹をきるに、斧また罪なきがごとし。鎌、草を刈るに、鎌、実に罪なきがごとし。刀、人を殺すに、刀、実に人にあらず、刀すでに罪なきがごとし。人いかんぞ罪あらんや。毒、人を殺すに、毒、実に人にあらず、毒薬、罪人にあらざるがごとし。いかんぞ罪あらんや。一切万物みなまたかくのごとし。実に殺害なけん。いかんぞ罪あらんや。やや、願はくは大王、愁苦を生ずることなかれ。なにをもつてのゆゑに、《もしつねに愁苦せば、愁へつひに増長せん。人眠りをこのめば、眠りすなはち滋く多きがごとし。婬を貪し酒を嗜むも、またまたかくのごとし》と。いま大師あり、迦羅鳩駄迦旃延(からくだかせんえん、パクダ・カッチャーヤナ)と名づく〉と。乃至 

またひとりの臣あり、無所畏(むしょい)となづく。〈いま大師あり、尼乾陀若提子(にけんだにゃだいし、ニガンタ・ナータプッタ)と名づく〉と。乃至 


タグ:親鸞を読む
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