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3月25日(金) [矛盾について(その235)]

 「あなた」に遇うのは奇跡のようなものです。
 さて、「あなた」は内部にいるのに、内部にいないという矛盾はクリアできたでしょうか。ある日、太郎が次郎の「あなた」となったとき、「あなたである太郎」は内部にいます、目の前にいます。ところが「太郎であるあなた」は内部にいません、つかんで離さないようにしようとしてもできるものではありません。
 「あなたである太郎」と「太郎であるあなた」。なんかごまかされたように感じられたでしょうか。ではこう言えばどうでしょう。こちらから「あなた」をつかまえようとどんなに頑張ってもできないのに、「あなた」は向こうからやってきて気がついたら目の前にいると。内部から外部への通路はないのに、外部から内部への通路はあるのです。
 さて、「あなた」に遇うとは「そのまま生きていていい」という声に遇うということです。ふとこの声が聞こえたら、それだけでぼくらは救われます。不思議なことですが、この声が聞こえたら、「もういつ死んでもいい」と思えます。「このまま生きていていいのだろうか」という不安を抱えてきて、「そのまま生きていていい」と聞こえたのですから、「ああ有難い、このまま生き続けたい」と思いそうなものですが、「もうこのまま死んでもいい」と思える。

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