SSブログ
『教行信証』精読2(その14) ブログトップ

本文6 [『教行信証』精読2(その14)]

(14)本文6

 慈愍の文のつづきです。

 かの仏の因中に弘誓(ぐぜい)を立てたまへり。名を聞きてわれを念ぜばすべて迎へ来(かえ)らしめん。貧窮(びんぐ)と富貴(ふき)とをえらばず、下智と高才とをえらばず、多聞と浄戒をたもてるとをえらばず、破戒と罪根の深きとをえらばず。ただ回心して多く念仏せしむれば、よく瓦礫(がりゃく)をして変じて金(こがね)と成さんがごとくせしむ。ことばを現前の大衆等に寄す。同縁去らんひと、はやくあひ尋ねん。とふ。いづれの処をあひ尋ねて去(ゆ)かんと。こたへていはく、弥陀浄土のうちに。とふ。なにによりてかかしこに生ずることを得ん。こたへていはく、念仏おのづから功を成ず。とふ。今生の罪障多し、いかんぞ浄土にあへてあひいらんや。こたへていはく、名を称すれば罪消滅す。たとへば明灯の闇中に入るがごとし。とふ。凡夫生ずることを得やいなや、いかんぞ一念に闇中あきらかならんや。こたへていはく、疑を除きて多く念仏すれば、弥陀決定しておのづから親近(しんごん)したまふと。要を抄す

 (現代語訳) 阿弥陀仏は法蔵菩薩として修行していたときに弘誓を立てられました。わが名号を聞いてわれを称念すればみなわが浄土へ迎え帰らせよう。貧しかろうと富んでいようと関係なく、智慧があろうとなかろうと関係なく、多く教えを聞き戒律を守っていようと戒を破り罪深かろうと関係なく、ただ他力の信をえて多く念仏すれば、瓦や小石のようなものを黄金に変えて往生させようと。
 目の前の同行にことばを寄せる。同じ念仏の縁をむすび、この娑婆から去ろうとする人たちよ、ともにはやくたずねていこう。問う、いづこにたずねていこうと言うのか。答える、弥陀の浄土へ。問う、どのようにしてそこに生まれることができるのか。答える、念仏すればその功がおのずからあらわれる。問う、今生で罪業を積んできたのに、どうして浄土に往けようか。答える、名号を称えれば罪はみな消える。それは闇のなかに燈火が灯れば一瞬にして明るくなるようなものだ。問う、凡夫でも往生できるのか。どうして一たび念仏するだけで闇が明るくなるのか。答える、疑いをなくして多く念仏すれば、弥陀はかならず親しく近づいてくださる。

タグ:親鸞を読む
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:学問
『教行信証』精読2(その14) ブログトップ