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5月23日(月) [矛盾について(その293)]

 前に、光を知ってはじめて闇が分かると言いました。光を知らない人は闇も知りません。生まれてこの方、闇の中で生き続けてきた人は、自分が闇の中にいることを知る由もありません。光の世界に出ることで、「ああ、これまで闇の中にいたのだ」と分かるのです。同じように「このまま生きていていい」と感じてはじめて、「ああ、これまで生きていていいと感じていなかったのだ」と分かります。「生きていていい」と感じない人は、感じないと思うこともありません。
 さて、学校や職場に自分の居場所がなくなるという窮地に陥るとき、「あなた」から「そのまま生きていていい」という声が聞こえるかどうかということでした。聞こえれば、それを力に窮地からどのようにして抜け出したらいいのかを考えることができるのですが。問題は聞こえないときです。そんなとき、聞こえないと思うこともありません。聞こえてはじめて、これまで聞こえなかったことに気づくのです。ですから、聞こえなかったら、聞こえないとも思うことなく、ひたすら窮地に立ち続けることになります。
 思わぬ躓きにあっても、まだ傷が軽いうちに自分で脱出することができるかもしれません。でも、脱出しようともがけばもがくほど深みにはまっていくことがあります。こうなりますと、「もう何ともならない」と絶望せざるをえません。そのときに力となるのが「あなた」の声なのですが、それが届かないのです。となりますと、もうひたすら沈んでいくしかありません。こうして「引きこもり」に至ることになります。
 ですから、「あなた」の声が届いているかどうか、ここに分かれ道があるのですが、ただ、届いていない場合、届いていないと思うことが引きこもりの原因になるわけではありません。本人には届いていないという意識もないのですから。

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