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矛盾について(その158) ブログトップ

1月3日(月) [矛盾について(その158)]

 「ひとの力に頼ること」ではなく、「繋がりあっている周りのものたちに支えられること」でもないとしますと、他力とは一体何でしょう。純粋に与えられるというのはどういう事態を指しているのでしょう。
 それは向こうからやって来て突然ぼくらを鷲づかみにする力です。それは「そのまま生きていていい」という声が聞こえるというかたちでやって来ます。その声はぼくらがどれほど聞きたいと思っても聞けるものではありません。いや、聞きたいと思えば思うほど余計に遠ざかります。自分の影を踏もうと追いかけても、追いかけるだけ遠のくのと同じことです。
 ある人が「このまま生きていていいのか」と悩み、誰かに「そのまま生きていていい」と言って欲しいと思っても、誰も言ってくれません。そこで友人にそう言ってくれるよう頼んだとしましょう。頼みを聞いてもらえたとして、さてその人の望みはかなえられるでしょうか。かなえられるはずはありません。それは自分で自分に「このまま生きていていいのだ」と言いきかせているのと何も変わりませんから。
 その声は思いがけなく届くのです。ぼくらはその声がもうすでに届いていることにふと気づくのです。これが他力ということです。
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