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1月4日(火) [矛盾について(その159)]

 「そのまま生きていていい」という声が思いがけなく届く。その声がもうすでに届いていることにふと気づく。これが他力ということです。
 では自力とは?
 ぼくらが生きるということは取りも直さずさまざまなことを「する」ことです。ぼくらの日常は「する」ことですっかり覆われていると言っていい。朝起きてから夜寝るまで、次に何をどのように「する」かで頭はいっぱいです。そしてどんなことであれ何かを「する」ときは、それを「しようと思う」ことが先行しており、しようと思わなければすることはありません。
 そんなことはないだろう、思わずしてしまうこともあるよと言われるかもしれません。確かに無意識のうちに何かをしてしまう(鼻の頭をかいたり、膝をゆすったり)という経験は誰にもありますが、それらは夢の中でいろいろなことをするのと同じく通常の「する」ではありません。普通に何かを「する」ときはやはりそうしようと思ってしているのです。
 では例えば笑うというのはどうだと言われるかもしれません。おかしさがこみ上げてきて笑うとき、笑おうと思って笑っているのではありません。そもそも笑おうと思っても笑えるものではありません。しかし笑うとか泣くとかも、これまた通常の「する」ではないと言わなければなりません。笑ったり泣いたりするのは込み上げてくる感情が取るかたちにすぎません。
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