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1月23日(日) [矛盾について(その178)]

 この世に「いる」場所があると実感できれば、「する」ことがうまくいかなくても、それで破綻することはないと言いました。
 再びユークリッド幾何学を考えてみましょう。「3角形の内角の和は180度である」という定理はよく知られていますが、それが平行線の公理に支えられていることを知っている人はそれほど多くないと思います。そんなことを知らなくても、3角形の内角の定理を使うことはできますし、実際ほとんどの人はそうしているわけです。
 では、それが平行線の公理に支えられていることに気づくことで何が変わるのでしょう。
 3角形の内角の定理を使うことに何の疑いもなければ、それが平行線の公理に支えられていることを知っていようがいまいが関係ないでしょう。でも、あるときふと疑いが兆したらどうでしょう。ほんとうに3角形の内角の和はいつでも180度なのだろうか、どうしてそんなことが言えるのだろうと思い出したら…。そんなとき、この定理は平行線の公理に支えられていることに気づきますと、不安は払拭されます。もう大丈夫、いつでもどこでも3角形の内角の和は180度であり、それは天地がひっくり返っても確かだと安心することができるのです。
 ぼくらは普段この世に「いる」場所があるなどと意識することなく、「する」ことに没頭しています。でも、「する」ことに不安が兆したとき、「いる」場所があると実感できるかどうか…。
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