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矛盾について(その23) ブログトップ

8月19日(木) [矛盾について(その23)]

 『ザ・コーブ』を話題にしましたのは、これまで考えてきた矛盾とはまた別の矛盾がここに顔を出していると思うからです。
 これまでの矛盾には「事実記述の矛盾」と「意思表明の矛盾」がありました。前者は例えば「イルカは哺乳類である」と「イルカは魚類である」との間、後者は例えば「捕鯨は全面的に禁止すべきだ」と「捕鯨は一定の範囲内で認めるべきだ」との間にあります。前者は事実に照らしてどちらが正しいかを判断できますし、後者は双方の意見をぶつかり合わせて落としどころを探らなければなりません。
 事実記述とは「見る」こと(「知る」こと)に他なりません。ぼくらは事実を見て(知って)それを記述するのです。ですから、それが正しいかどうかは事実と合致しているかどうかを検証することによって判定できます。一方、意思表明とは「意思する」ことです。ぼくらの意思(何かをしようという思い)を外に出すことです。意思は意思すること(そしてそれを表明すること)によってはじめて姿を現すのです。
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