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第1首 [はじめての『高僧和讃』(その1)]

               第1回 龍樹讃

(1)第1首

 前に『浄土和讃』を読みましたが、今度は『高僧和讃』に進みたいと思います。どちらも宝治2年(1248年)、親鸞76歳のときに成立しました。因みに、三帖和讃と括られるもう一つの『正像末和讃』は、それから10年後、親鸞86歳のときの制作です。
 さて『高僧和讃』は、その名のごとく、浄土の教えをわれらに伝えてくれた七高僧のひとり一人を讃えて詠われたもので、「正信偈」の後半(いわゆる依釈段)を和讃にしたものと言えます。その構成を見ておきますと、龍樹讃10首、天親讃10首、曇鸞讃34首、道綽讃7首、善導讃26首、源信讃10首、源空讃20首、結讃2首の計119首からなっています。
 ではさっそく龍樹讃に入ります。

 「本師龍樹菩薩は 『智度』『十住毘婆沙』等 つくりておほく西をほめ すすめて念仏せしめたり」(第1首)。
 「龍樹菩薩は筆をとり、『智度』や『十住』つくりては、弥陀の浄土をほめたたえ、ひとに念仏すすめたり」。

 ここで『智度』とは『大智度論』(『魔訶般若波羅蜜経』の注釈書)のことで、『十住毘婆沙』は『十住毘婆沙論』(『華厳経』「十地品」の注釈書)であり、どちらも『中論』と並んで龍樹の代表的な著作とされます(ただ、この両書がほんとうに龍樹の作であるかどうかについては疑問も出されています)。「西をほめ」とは、西方にあるとされる阿弥陀仏の浄土をほめることであるのは言うまでもありませんが、『大智度論』や『十住毘婆沙論』は弥陀の浄土を讃えるために書かれたものではなく、そのなかに少しく阿弥陀仏に触れられているにすぎません。
 その辺りのことをきちんと理解するために、龍樹について基本的なことを押さえておきましょう。

タグ:親鸞を読む
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