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水俣病 [生きる意味(その66)]

(37)水俣病
 公害の原点と言われるのが水俣病です。ぼくは若い頃、宇井純という人の本から水俣病の背景にあるものを教えていただきました。
 まだ水俣病の原因がよく分からなかった頃の話です。どうもチッソという会社が臭い。あの会社が海に流している排水の中に毒が入っているんだろうと調べてみると、案の定、有機水銀という猛毒がたっぷり含まれていました。
 そこで水俣湾の海水を汲んできて、その中に含まれている有機水銀の濃さを測ってみますと、その数字はそれほどのものではありません。0.000…いくつかPPMとかで、あるかないかの薄さです。果てしない海に流すのですから、まあ希釈されてそんなに心配するほどのものではない。
 ところがどっこい、そこには思いもかけない仕組みがあったのです。実は水俣湾に棲む魚たちが希釈された有機水銀をせっせと濃縮していたのです。
 魚は水俣湾の中を泳いでいるのだから、魚の中の有機水銀も海水と同じ濃さだろうと思い込んでいたのですが、とんでもない、魚の体内で海水の濃度の何千倍、何万倍もの濃さに濃縮されていたのです。そのたっぷり有機水銀を溜め込んだ魚を毎日食べていたのですから、たまったものではありません。
 考えてみますと、貝は自分の貝殻を自分で作っています。自分にあった貝殻をどこかから拾ってくる訳ではありません。自分で作るしかないのですが、どうやって作っているかと言いますと。海水の中に含まれているごくわずかの炭酸カルシュウムをせっせと取り込んで濃縮作業をやっている訳です。

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