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8月15日(月) [矛盾について(その377)]

 ある本を読んでいましたら、「ありがとう」ということばについて次のような記述がありました。
 「日本人同士は、なにか互いに親切にすると、“ありがとう”という。“わたしはあなたにお礼をする”とはいわない。外国の人は“サンキュー”という。あれをもう一つくわしくいうと、“アイ・サンク・ユー”―わたしがあなたに感謝する―ということなのでしょう。…アイともユーともいわないで、ありがとうという言葉だけであらわすときには、親切をしてくだされた向こうに対してお礼をいうだけでなく、親切をしていただいた自分もありがたいということでしょう。自分のようなものが、あなたにそういうふうにお世話をしていただくまわり合わせであり、因縁であることは、ひじょうにありがたいことである。そうすれば、あなたもまた、わたくしのような人間に対して、そういうことをなさる気持ちになってくだされたことはありがたい、ということであります」。
 そう言われてみれば、“Thank you”だけではなく、ほとんどの外国語は「感謝する」という意味のことばでお礼の挨拶をしています。“Danke”、“Merci”などのヨーロッパ語をはじめ、“謝謝”、さらには“カムサハムニダ”などのアジアのことばもみな「感謝する」という動詞を使っています。その中にあって「ありがとう」とは「有り難い」、つまり「滅多にない」という意味で、そこにはもともと感謝するという意味は全く入っていません。それが後になって、今日のような感謝を表すことばとして使われるようになってきたということですが、この感覚がおもしろい。

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