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本文5 [『教行信証』精読2(その137)]

(11)本文5

 譬えの後半です。

 なほ好蜜のごとし、一切功徳の味はひを円満せるがゆゑに。なほ正道のごとし、もろもろの群生をして智城に入らしむるがゆゑに。なほ磁石のごとし、本願の因を吸ふがゆゑに。閻浮檀金(えんぶだんごん、閻浮樹の間を流れる河から採れる砂金)のごとし、一切有為の善を映奪(ようだつ)するがゆゑに。なほ伏蔵(地下に埋蔵されている宝)のごとし、よく一切諸仏の法を摂するがゆゑに。なほ大地のごとし、三世十方一切如来出生するがゆゑに。日輪の光のごとし、一切凡愚の痴闇を破して信楽を出生するがゆゑに。なほ君王のごとし、一切上乗人(諸仏のこと)に勝出せるがゆゑに。なほ厳父のごとし、一切もろもろの凡聖を訓導するがゆゑに。なほ悲母のごとし、一切凡聖の報土真実の因を長生(じょうしょう)するがゆゑに。なほ乳母(にゅうも)のごとし、一切善悪の往生人を養育し守護したまふがゆゑに。なほ大地のごとし、よく一切の往生を持(たも)つがゆゑに。なほ大水のごとし、よく一切煩悩の垢をすすぐがゆゑに。なほ大火のごとし、よく一切諸見の薪を焼くがゆゑに。なほ大風のごとし、あまねく世間を行ぜしめて礙(さ)ふるところなきがゆゑに。

 (現代語訳) 本願はよい蜜のようです、一切の功徳の味をまどかに満たしているからです。正しい道のようです、あらゆる衆生を智慧の城に導いてくれるからです。磁石のようです、衆生を引き寄せるからです。閻浮檀金のようです、世間の善の光を奪ってしまうからです。地下に隠された宝庫のようです、一切諸仏の教えを包摂しているからです。大地のようです、すべての如来はそこから生まれ出てこられたからです。太陽の光のようです、一切衆生の愚痴の闇を破って信心を生じさせるからです。大王のようです、一切の諸仏を超えているからです。厳しい父のようです、すべての凡夫・聖者を教え導くからです。慈愛にあふれた母のようです、一切の凡夫・聖者を浄土へ生まれさせる因である信心を育むからです。乳母のようです、一切の往生人を養育し護ってくれるからです。大地のようです、一切の往生人を支えてくれるからです。大水のようです、一切の煩悩の垢を洗い流すからです。大火のようです、一切の邪見の薪を焼くからです。大風のようです、世界中に行き渡り、何ものにも遮られないからです。

タグ:親鸞を読む
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