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10月10日(月) [矛盾について(その433)]

 悲しみは未来という時間に関係した感情ではないでしょうか。
 咽喉もと過ぎれば熱さ忘れると言いますが、苦しみは「いま」に関わります。二日酔いで頭がガンガン痛むとき、こんな苦しみは金輪際いやだと思いますが、鎮痛剤を飲んで痛みがすっきり消えますと、そんなことがあったかしらんという顔をして、また深酒をしてしまいます。しかし悲しみは「あした」に関わります。もちろん悲しんでいるのは「いま」です。でも「これから先」のことを思って悲しむのです。
 わが子を亡くして悲しんでいる人は、何を悲しんでいるのか。言うまでもなくわが子を亡くしたことを悲しんでいるのです。としますと「すでに」起こってしまったことを悲しんでいるようですが、実は「これから先」もう二度とあの子を抱いてあげることができないのを悲しんでいるのです。すでに起こってしまったことが悲しいのは、それがもう取り返しがつかないからです。悲しみがなかなか癒えないのはそういうことです。
 もうひとつ言いますと、今日「こんなはずじゃない」と苦しむとき、明日に願いをかけます。今日は「こんなはずじゃない」けれど、明日は今日よりもいい日でありますようにと。しかし、わが子を亡くしてしまったしまった人は、「これから先」もまたわが子のいない日々が続くのです。それを思うと何ともいえず悲しい。
 悲しみは「あした」に関係するというのはそういうことです。

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