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2月22日(金) [はじめての親鸞(その57)]

 しかし、あちらは難しいがこちらは易しいという対比は、ある目標を目指しています。山登りをするのに沢ルートと尾根ルートがあり、それぞれに難コースもあれば初心者向けのコースもあります。経験と体力に応じていろいろなコースを選べますが、いずれにせよ自分の足で山頂を目指さなければなりません。
 このように、あれは難しい、これは易しいという比較は、ある目的地に到達するのが難しいか易しいかということですから、どちらも自力です。としますと、「自力は難行で他力は易行」というのはおかしいのではないでしょうか。
 龍樹は水路を船で行くという譬えで易行を説明していました。これは自分の足で行くのではなく、ただ船に乗っているだけで目的地まで運んでくれるのですから、文句なく易行でしょう。今は船でなくても電車や飛行機であっという間に目的地まで連れて行ってくれます。
 でも、これを他力と言うのでしょうか。自分の足で一歩一歩踏みしめて行くのと飛行機でひとっ飛びするのとでは、確かにかかる労力や時間はまるで違いますが、でも目標目指して前進するという点では何も変わりません。沢ルートを選ぶか尾根ルートを選ぶかと同じで、どちらも自力です。
 自力とはある目標に向かって進むことです。そこに到達するにはいろいろなルートがあり、さまざまな手段がありますから、かなり難しいか、意外に易しいかの違いはありますが、いずれにせよ目をしっかり前に向けて目標を目指すのです。これが自力です。としますと、ぼくらは朝起きて夜寝るまですべて自力で生きているということになります。
 他力なんてどこにもありません。

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