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はじめに [親鸞の手紙を読む(その1)]

         第1回 信心のさだまるとき往生またさだまる

(1)はじめに

 みなさん、こんにちは。これから親鸞が関東の弟子たちに書き送った手紙を読んでいこうと思います。
 親鸞は35歳のとき承元の法難に連座して越後に流罪となり、赦免となった後も京に戻らず、常陸へ移り住み60歳ぐらいまで関東で念仏生活を送りました(これは「非僧非俗」の実践とみることができます)。その結果、関東各地に親鸞の浄土の教えを糧とする多くの弟子たち(親鸞としては「弟子一人ももたずさふらふ」でしょう)が生まれるのですが、その親鸞もついには京に帰ることになります。かくして互いの意思の疎通を図るのが難しくなるのですが、親鸞は京からさまざまな書物(聖覚の『唯信鈔』や隆寛の『一念多念分別事』など)を書写しては送り、弟子たちは手紙で疑問を問い質して信心のありようを確かめあっていました。
 これから読もうとするのは、そうした弟子たちの疑問に親鸞が丁寧に答えている手紙文です。
 全部で41通(数え方によっては43通)の手紙が残されていまして、それらの多くは書簡集という形で編纂されています。そのうちわけは、『末燈鈔』22通、『親鸞聖人御消息集』18通(他と重複するものを除けば10通)、『御消息集(善性本)』7通(同、1通)、『親鸞聖人血脈文集』4通(同、2通)、その他に「真蹟消息」・「古写消息」とよばれるものが12通(同、6通)となります。そのなかには浄土の教えとは関係のないものもあり、また内容的に重複するものもありますので、親鸞の浄土思想を知る上で重要なもの12通を精選して読んでいきたいと思います。
 『末燈鈔』から見ていきますが、この書簡集は従覚(本願寺第3代覚如の次男で、第4代善如の父)により1333年に編纂されました。まずはその第1通を取り上げましょう。これには宛名がありませんので、手紙ではなく、従覚いうところの「御己証(ごこしょう、自身の領解)」かもしれませんが、建長3年(1251年)閏9月20日の日付けがあり、親鸞79歳のときのものです。

タグ:親鸞を読む
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