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1月28日(金) [矛盾について(その183)]

 脳死の人との「対話」と言いますが、この対話は一風変わっています。「あちら」から届く声が耳に聞こえる声ではないということを言っているのではありません。耳には聞こえない声(こころに届く声)で対話することはざらにあります。
 そういうことではなく、普通はことばを互いにやりとりするのが対話なのに、いまの場合は「あちら」からことばが届けられるだけで、それに対して「こちら」がことばを返すことができないということです。「あちら」から「こちら」への通路があるだけで、「こちら」から「あちら」への通路は閉ざされているのです。
 「ありがとう」の声が聞こえてきます。何万語もの思いを背負ったこの声は「お前がいてくれたお蔭だよ」と聞こえ、また「お前がこの世にいることには意味があるのだよ」と聞こえるのです。そんな声が聞こえたら、それに対して思わず応答するでしょう。だからそこに対話が成立するような気がするのですが、どんなにしても「こちら」から「あちら」へことばを届けることはできません。「あちら」から声が届くだけ。
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